2月に入り、立春を過ぎてもまだまだ寒さと乾燥が続いていますね。今季の東京は雨が降らなく、例年より乾燥を強く感じます。この時期、ご高齢の方にとって「乾燥」は肌がカサカサするだけの問題ではありません。実は、喉のバリア機能が低下してウイルスに弱くなったり、気づかないうちに進行する「隠れ脱水」のリスクが高まる季節なんです。
今回は、厚生労働省や国立長寿医療研究センターの情報をもとに、2月の乾燥対策と健康管理のポイントをお伝えします。東京都など都市部では特に室内の乾燥が進みやすいため、在宅で療養されている方は注意が必要です。
2月は1年で最も乾燥する季節
気象庁のデータによると、2月は1年を通じて最も湿度が低くなる月です。特に暖房を使う室内では、湿度が30%以下になることも珍しくありません。東京都心部では、冬場の湿度が20%台まで下がることもあります。
なぜ乾燥が危険なのか
私たちの喉や鼻の粘膜には「線毛(せんもう)」という細かい毛が生えていて、ウイルスや細菌を外に追い出す働きをしています。ところが、湿度が40%以下になると、この線毛の動きが鈍くなり、ウイルスが体内に侵入しやすくなってしまうんです。
また、インフルエンザウイルスは湿度が低く、気温が低い環境で活発になることがわかっています。つまり、乾燥した室内は、ウイルスにとって「居心地の良い場所」になってしまうわけです。
冬場の「隠れ脱水」にご注意を
高齢者は喉の渇きを感じにくい
年齢を重ねると、体の水分量が減るだけでなく、喉の渇きを感じるセンサーも鈍くなります。若い人は体重の約60%が水分ですが、高齢者は約50%程度まで減少します。さらに、腎臓の機能が低下すると、体内の水分バランスを調整する力も弱くなるんです。
不感蒸泄(ふかんじょうせつ)とは
私たちは汗をかいていなくても、呼吸や皮膚から常に水分を失っています。これを「不感蒸泄」といいます。通常、1日に約900mlの水分が失われますが、暖房で室内が乾燥していると、この量がさらに増えます。
脱水が招く深刻なリスク
自覚症状がないまま脱水が進むと、次のような危険があります。
- 血液がドロドロになる:血液の粘度が高くなり、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが2〜3倍に高まるという研究結果があります
- 口腔内の細菌増殖:唾液の分泌が減ると、口の中の細菌が増え、誤嚥性肺炎のリスクが上がります
- 便秘の悪化:大腸での水分吸収が進み、便が硬くなります
- 認知機能の低下:脳への血流が減少し、一時的に判断力が鈍ることがあります
自宅でできる科学的な乾燥対策
室内環境を整える
厚生労働省は、室温18〜22℃、湿度50〜60%を推奨しています。湿度計を使って、こまめにチェックしましょう。
- 加湿器の置き場所:部屋の中央付近、床から50cm以上の高さに置くと効率的です
- 自然な加湿方法:洗濯物の室内干し、観葉植物の配置、お湯を入れたコップを置くなども有効です
- 換気も忘れずに:1時間に1回、5分程度の換気で空気を入れ替えましょう。ウイルスの濃度を下げる効果もあります
🔳口腔ケアで粘膜を守る
口の中が乾燥すると、細菌が約30倍に増えるという報告があります。
- うがいの習慣:起床時、外出後、就寝前に、ぬるま湯でうがいをしましょう
- 舌のケア:舌の表面も優しくブラッシングすると、細菌の繁殖を防げます
- 保湿スプレー:口腔用の保湿スプレーやジェルを活用するのも効果的です
🔳計画的な水分補給
国立長寿医療研究センターによると、高齢者は1日1.2〜1.5リットルの水分摂取が必要です。
効果的な飲み方のポイント
- タイミングを決める:起床時、毎食前後、入浴の前後、就寝前など、1日8回程度に分けて、1回コップ1杯(150〜200ml)を目安に
- 温度に注意:体温に近い温度(35〜40℃)の飲み物が、胃腸への負担が少なくおすすめです
- 飲み物の選び方:カフェインには利尿作用があるため、お茶やコーヒーだけでなく、白湯や麦茶も取り入れましょう
- 食事からも水分を:お粥、スープ、果物など、水分の多い食品も積極的に摂りましょう
🔳脱水のサインを見逃さない
次のような症状があれば、脱水のサインかもしれません。
- 口の中がネバネバする
- 皮膚をつまんで離したとき、すぐに戻らない
- 尿の色が濃い、回数が減った
- 頭がぼんやりする、集中力が続かない
血行を良くして乾燥に負けない体づくり
なぜ血行が大切なのか
血液は、酸素や栄養を全身に運ぶだけでなく、皮膚や粘膜に潤いを届ける役割も担っています。寒さで体が縮こまると、毛細血管への血流が減り、肌や粘膜が乾燥しやすくなります。
在宅で療養されている方の中には、外出の機会が減り、運動不足になりがちな方も多いかもしれません。訪問マッサージなどの在宅ケアサービスを利用されている方も、日常的に体を動かす習慣を取り入れることで、より効果的に健康を維持できます。
🔳室内でできる簡単な運動
- 足首の運動:座ったまま、足首を回したり、つま先を上げ下げしたりします(1セット10回、1日3セット程度)
- 肩回し:肩を大きくゆっくり回します(前回し・後ろ回し各10回)
- 深呼吸:ゆっくり鼻から息を吸い、口から吐きます。血流が良くなり、リラックス効果もあります
🔳入浴で温まる
お風呂は全身の血行を促進する最適な方法です。
- 温度:38〜40℃のぬるめのお湯に、10〜15分程度
- 入浴前後の水分補給:入浴で約500mlの水分が失われるので、前後にコップ1杯ずつ飲みましょう
- 入浴後の保湿:お風呂上がり5分以内に、ボディクリームなどで保湿すると効果的です
在宅ケアで冬を健やかに
在宅で
在宅療養されている方へは、介護保険を在宅ケアサービスや私たちが行う訪問マッサージなどの在宅ケアサービスをご利用ください。特に寒い時期は、自宅にいながら専門的なケアを受けられることで、外出時の感染リスクを避けながら、体調管理ができるメリットがあります。
血行促進や関節の柔軟性維持は、乾燥に負けない体づくりだけでなく、転倒予防や日常生活動作の維持にもつながります。かかりつけ医やケアマネージャーに相談しながら、ご自身に合った在宅ケアを検討されるのも良いでしょう。
2月を無事に乗り切れば、暖かい春はもうすぐです。ご自宅での加湿とこまめな水分補給、そして適度な運動で、この冬を元気に過ごしましょう。
体調に不安を感じたら、早めにかかりつけ医や地域の相談窓口にご相談くださいね。
りす訪問マッサージ 佐藤