訪問マッサージを受ける患者様には寝たきりの方が多くおられます。ご病気によりご自身では体を動かすことのできない方や、アルツハイマー型認知症により生活自体を認知できなく寝たきりになってしまう方とそれぞれです。特に施設入居者様でリハビリの回数が少なかったりするケースを私たちが補完的にサポートさせていただく依頼が多くあります。
今回はご自身で体を動かすのではなく、私たちが他動的に関節の運動を行うことの効果をお伝えしてまいります。寝たきりの方が他動的に関節を動かすことには、次のような効果が期待されます。
関節の可動域を維持する効果
寝たきりの方は、長期間身体を動かないことにより、筋肉の萎縮がおこり関節の可動域が狭くなってきます。関節を他動的に動かすことによって可動域を維持することができます。定期的に行うことで筋委縮や関節拘縮を防ぐことができます。
血行促進効果
各関節を他動的に動かすことによって、関節周囲の筋肉が刺激され血流が促進されます。関節内や関節周囲の組織に酸素や栄養素が運ばれることにより組織の代謝が活発化されます。また、関節における老廃物の排出も促進され関節の機能維持につながります。
筋力維持効果
臥床が続くと筋力低下が進んでしまいます。例えばベッドに寝たまま安静にしていると、1週間程度で10~15%の筋力を失ってしまいます。高齢者の場合は2週間安静にしていると下肢の筋肉が約2割萎縮するといわれています。関節を他動的に動かすことによって、周囲の筋肉を刺激することができ筋力の維持につながります。また、筋肉を刺激することによって、筋肉の萎縮を防ぐことができます。
骨密度の維持効果
寝たきりの方は、骨へのストレスがなくなるので骨密度が低下する傾向にあります。ベッドサイドで手すりなどを使って運動ができればよいですが、難しい場合は関節を動かしてあげることにより、骨に適度な刺激を与えることにより骨密度を維持することが図れます。
他動的な関節運動はご家族が日ごろから行うことも可能ですが、状態により加減が必要となりますので、必ず医師や専門家に相談した上でおこなうようにしましょう。