実際の事例と改善例
変形性膝関節症 手術後のリハビリも兼ねて利用
事例
変形性膝関節症により人工関節置換術を受けたAさん(82歳女性)ですが、まずは片側の膝関節のみを置換し、リハビリの一環として訪問マッサージの利用を始めました。もう片方の膝関節は変わらず変形と痛みによる運動制限があり、動作緩慢となり外出がおこなえない生活を送られています。個別のマッサージプログラムとして、まだ手術をおこなっていない膝関節の周囲の緊張をほぐすようにマッサージ、ストレッチを定期的におこないながら、両側下肢の運動療法をPTと確認し経過をみています。膝関節の痛みは改善も図れており可動域も改善しているようで日常生活での動作が楽になり始めています。
効果
・関節可動域の拡大
・膝関節の痛みの緩和
・運動制限の緩和
廃用症候群 2つのケース
事例
寝たきりの方の多くに当てはまる症例です。個々により程度が大きく異なりますがサルコペニアという状態のサイクルに陥りやすいので、まずは筋力を落とさない取り組みが大切になってきます。ただご病気により自発的に身体を動かすことが出来ない方には他動的に身体を動かしていかなければなりません。
(1) 92歳の女性が一人暮らしの生活から家族と同居することになり、およそ2か月で寝たきりになってしまいました。筋力低下、腰部痛などが顕著となり廃用症候群の診断を受けて、週2回の訪問マッサージの利用となりました。全身のマッサージと関節運動で血液循環を促して、座位から立ち上がりの訓練や立位保持の訓練をおこなうようになり、日常生活も日中は椅子に腰かけて過ごすようになり、ご家族の介助付きで屋外にでてみる機会も増えました。
(2)アルツハイマー型認知症により寝たきりで療養させている方のケーズです。居宅では見きれずに施設様へ入居されている女性(82歳)の方ですが、関節拘縮が顕著で特に股関節が90度近くで拘縮しています。着換えやおむつ交換等が困難であるために、主に股関節の関節拘縮の改善を目的に施術をおこないます。こちらからの指示は入らないので、他動的にご状態をみながら動かせる範囲で施術をすすめていきます。施術の可動域は改善がみられますが、無意識に力んでしまう為に定期的に関節を動かして、まず維持していくことを目的として現在も続けています。
効果
・筋力低下の改善
・関節可動域の維持・拡大
・血行促進による浮腫や冷え性の改善
腰部痛
事例
腰部痛の方は大変多くみられます。訪問マッサージの場合は原則腰の痛みだけでは健康保険は適用できませんので、2次的に腰部痛があるという場合が殆どです。在宅療養により運動不足になると慢性的な腰の痛みをかかえてしまい、更に不活発となるサルコペニアに陥りやすくなってしまいます。訪問マッサージでは筋肉の緊張緩和と血流を良くすることによって痛みの軽減を図ります。同時に腰痛体操のプリント等もお配りして日頃から腰部痛の軽減に向けて身体を動かして頂くようお伝えしています。
効果
・筋肉の緊張を緩和し、痛みを和らげる。
・血行を促進し、炎症を抑える。
・骨盤の歪みを整え、姿勢改善につなげる。
脊柱管狭窄症
事例
脊柱管狭窄症も多くの方に見られる疾患です。手術をなさる方もおりますが、温存療法で療養されている方が圧倒的に多いです。特徴は間欠性跛行(しばらく歩くと足が動かなくなるが、休むと歩けるようになる)と足のしびれの訴えが多く聞かれます。
80代男性の事例です。足の痺れが常にあり、足裏に皮が数枚張り付いている感じがあるとの訴えで腰部痛もあり、服薬にて療養されていました。脊柱管内部の器質的な問題の為、マッサージでも行えることとしては、動作不足による筋緊張を緩和して可動域をあげることと、痺れの改善の為の血液循環の促進を目的としました。施術を受けていくたびに足のしびれも軽くなっていきました。また施術でリラックスすることが出来て、ご病気で鬱々していた気持ちの部分もプラスになったそうです。
効果
・筋肉の緊張を緩和して血行を促し痺れの改善を図る。
・運動能力の向上や日常生活の動作をサポートする。
・精神的にリラックスできる。
脳梗塞後遺症(左片麻痺)
事例
脳梗塞後遺症により片麻痺を呈し在宅療養されている方も多くみられます。発症時期、ブルンストロームステージ(Brs)という麻痺の度合いを測る指標や、筋力テストによって施術の仕方も変わってきます。在宅療養中の70代男性のケースです。5年前に左脳梗塞となり後遺症で左片麻痺(弛緩性)を呈しています。ご家族と同居、室内は車いすで移動、トイレは自立でおこなえています。上下肢弛緩性の麻痺の為に立位になれるものの支持性は低いですが、端坐位はおこなえるので、訪問マッサージ時もベッドに腰かける時間をとってもらっています。主訴は全身の倦怠感なので麻痺側を中心に全体のマッサージをおこないます。非麻痺側の運動機能も落ちないようにストレッチや関節可動域訓練を行って機能維持に努めてもいます。施術後は筋肉の緊張が緩和され、腰部痛も楽になるとのことです。現在も定期的に訪問マッサージを受けており、主訴の緩和と機能の維持に努めています。
効果
・筋肉の緊張や萎縮を抑える。
・関節や筋肉への栄養循環を促す。
・麻痺部位へのリハビリ的アプローチ
認知症と四肢筋力低下 ※施設スタッフ様より
事例
あるグループホームに入居している方で、認知症と四肢筋力低下により膝関節の可動域制限があり歩行困難の患者様の事例です。主に膝関節の屈曲制限の改善を図るようにストレッチとマッサージの施術をおこなっています。最後に歩行確認を行う為、施設内を手引き介助で歩いてもらいます。お話しをしながら歩くと笑顔も多くみられて楽しそうに会話をしています。また、施設スタッフ様より報告があり、マッサージを受けた当日は歩行が比較的楽に行えるようになるようで、着替え時も関節が動くので楽に行えるようになったそうです。また、入居者様の表情が明るくなり笑顔も増えているそうです。
効果
・筋肉の緊張を緩和
・四肢筋力低下の改善。
・関節可動域を拡大
・運動の機会が増える。
・リラックス効果で笑顔が増える
脊髄損傷
事例
交通事故により脊髄損傷となった在宅療養中の50代の男性患者さんのケースです。両下肢はご自身で動かせなく上肢を使い車いすで生活をなさっています。肩と背中への動作負担が大きく、筋緊張による痛みが常にあるので緩和を図るよう施術をおこないます。両下肢は関節可動域訓練とストレッチで状態維持を目的とした継続的な施術をおこないます。またマッサージを受けることで筋肉の緩和が促され自律神経の調整による血行促進も図れているご様子です。精神面でもマッサージを受けることでリラックスできストレスが軽減されているようです。
効果
・筋肉の弛緩や痛みの緩和
・骨密度の低下を防止するための運動や姿勢の改善
・自律神経調整の改善
・心理的なストレスの軽減